高野悦子「二十歳の原点」案内
「二十歳の原点」(昭和44年)

読書劇「二十歳の原点」

 高野悦子「二十歳の原点」を題材にした舞台が、東京で開かれた。本ホームページ編集人は2013年7月19日(金)の舞台を取材した。
読書劇「二十歳の原点」パンフレット秋葉原アトリエACT&B
 会場は東京・秋葉原の「秋葉原アトリエ ACT&B」。地下にある客席40人弱の小ホールである。
高木尋士氏 客席は階段状だが、広さはちょうど高野悦子が映画「無人列島」を見た京都・河原町三条の「立体ギャラリー射手座」に似ているようにも思われた。
 この回のチケットは事前に完売で、満席。客層は若者から50代くらいまでだろうか。若い女性の姿も目立つ。

 タイトルは、読書劇「二十歳の原点」。高木尋士氏が主宰する劇団・オフィス再生の公演である。
 読書劇は、読書という自己完結的な行為を演劇として可視化しようとする試みである。今回が第2弾で、スタイルを確立するより模索していると言えるかもしれない。

 入場料は2,500円。この日は舞台の前に鈴木邦男氏(元右翼団体代表)と椎野礼仁氏(編集プロダクション社長)をゲストに迎えてプレトークが行われた。
 プレトークでは1960年代後半の大学や学生の置かれていた状況などをテーマに話が進められた。鈴木氏は右翼活動を、椎野氏は学生運動をしていたが、当時の学生が自己や社会のあり方について突き詰めて考えようとしていたという点で一致していたのが印象的だった。

 午後8時前に開演。舞台は赤色のライトと「インターナショナル」の高らかとした歌声からはじまった。
 「高野悦子の苦悩を表現したかった」。高木氏は言う。

 1969年と学生運動に焦点をしぼった構成で、二十歳の原点を読み進みながら舞台に表現する。それはちょうど抽象画のようにパフォーマンスで訴えかける。
 セリフの一部には、当ホームページの「高野悦子の自殺」が引用されていた。1時間40分。

「千賀ゆう子のための二十歳の原点」

 読書劇「二十歳の原点」は5年続けられて一区切りとなったが、同じ高木氏が脚本・演出を手がける舞台として2019年に「千賀ゆう子のための二十歳の原点」と題も改めて上演された。
千賀ゆう子ための二十歳の原点パンフレット六本木ストライプスペース
 高木氏によると、1年前の2018年6月24日に女優・演出家の千賀ゆう子さん(1943-2018)と公演を約束し、脚本の準備も進めていたが、実現する前に千賀さんは亡くなった。「亡くなる数日前に病室で会った千賀さんとこの作品の話をしました。千賀さんはこの作品に想いを馳せていました。亡くなられた後、千賀さんがこの作品へのメモを遺されていることを知りました。それを見せていただきましたが、その時は泣いてしまい読めませんでした」(高木氏)。
千賀ゆう子さん遺影 そのため今回、「亡くなった女優、千賀ゆう子さんのための作品」という意味の特別な公演として行うことになった。

 入場料は3,000円。6月24日(月)午後7時の回は、会場は満席で立ち見も含め30人。女性が3割、男性には60代以上とみられる姿も多かった。
 約6年前の「読書劇」初演と比べると、時代性や学生運動といった構成の軸こそ引き継いでいるものの、3人の女性が次々と「二十歳の原点」のフレーズを口にしていく場面によりスポットが当てられていたように感じられた。
 出演者は千賀さんと舞台をともにしたことがあり、「千賀さんに捧げる意味が込められている」(高木氏)という。1時間25分。

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